野菜の「50度洗い」についてご存じでしょうか。以前話題になり、実践している人も多いと思います。その名のとおり「50度のお湯で洗う」ことにより、野菜の鮮度が蘇(よみがえ)るというもの。実はこの方法、レタスなどの野菜だけでなく肉や魚、果物にも活用できるのです。
この記事では、50度洗いのやり方や効果、メリットとデメリットについてまとめました。「50度洗いについて知りたい」「洗う時間はどのくらいなのか?」「やり方と効果は?」など、「おいしい料理を作りたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 50度洗いとは?
- 50度洗いのやり方
- 50度洗いの注意点
1.50度洗いとは?
「50度洗い」という言葉は知っていても、実際にどうやってやるのか、どのような効果があるのか知らない人は多いと思います。50度洗いとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
1-1.50度洗いについて
「50度洗い」とは、言葉のとおり食材を50度前後のお湯で洗うことを言います。そうすることで、食材がみずみずしく蘇(よみがえ)るのです。
その理由は、50度のお湯に入れることでヒートショックという現象が起こることに関係しています。葉っぱの表面にある気孔が開き、細胞に水分を取り込むことができるのです。特に、レタスのような葉物野菜は収穫した時点から鮮度の低下が進行しています。スーパーで購入したときには、見た目以上に水分が不足した状態なのです。
50度洗いをすることで細胞内にしっかりと水分を取り込むことができ、茎や根からの吸水以上に、確実に鮮度を上げることができるでしょう。
もちろん、50度なら食材が煮えてしまうこともなく、味や食感だけがよくなります。野菜だけでなく、肉や魚にも効果的な50度洗い。酸化した油や汚れを取り除くこともできるため、煮込み料理をするときに出るアクの量も減らすことができますよ。
1-2.新鮮になる
では、50度洗いをすることでどんな効果を得ることができるのでしょうか。野菜や果物は50度のお湯で洗うと気孔が開き、水分を吸収する力が蘇(よみがえ)ります。その結果、みずみずしさを取り戻すことができるのです。さらに、食材の劣化をすすめる酸化物や菌は、50度で洗うことで減少します。そのため、長く保存できるようになるでしょう。実は、花なども50度洗いすることで長持ちする、ということが分かっています。
1-3.おいしくなる
50度洗いには、食材をおいしくする効果もあります。野菜の渋みや苦みを取り除き、アクや臭みの原因を消すことができるのです。また、酸化物質を洗い流すことで酸素の活動が活発になり、食材を一番おいしい状態にすることができるでしょう。そして、うまみと甘みが増えることになるのです。
1-4.汚れが落ちやすくなる
50度洗いは、食材を新鮮でおいしくするだけのものではありません。50度は食材を傷めずに洗いやすい温度でもあるのです。スーパーで購入した野菜や果物は、薬品がかかっているものばかり。当然、調理する前に洗いますがお湯で洗うことで薬品や虫も流しやすくなるのです。
2.50度洗いのやり方
では、50度洗いの正しいやり方をご紹介します。やり方を間違えると効果を得ることができませんので注意してください。
2-1.基本的な手順
用意するものは、少し大きめのボウルと温度計だけです。まずは、ボウルにお湯を入れて温度計で温度を測りながら50度に設定します。そこに洗う食材を入れ、丁寧に洗いましょう。洗い終わったらしっかりと水気を切り、すぐに使わない場合は冷蔵庫で保存するようにしてください。肉や魚の場合は、洗ったらすぐに使うことをおすすめします。
2-2.正しい洗い方
野菜や果物の場合は、表面を傷つけないようにやさしく洗いましょう。長さのある野菜は上半分と下半分で分けてお湯につけるとやりやすくなります。お肉は表面をこすり洗いしてお湯につけておきましょう。終わった後は冷水に取り出してから水気を切ります。魚は冷蔵庫から取り出してそのままお湯につけてください。お湯の温度には十分注意が必要になるでしょう。お肉や魚は2分くらいお湯につけると白っぽくなります。しかし、お湯からあげて乾かすと元に戻るでしょう。
また、お肉や魚は凍ったままで50度洗いすることもできます。洗った後で、少し芯が残る程度まで解凍しましょう。その後、冷水に入れて冷まします。普通に解凍するよりもうまみを逃がさず、おいしいお肉になるでしょう。
2-3.50度洗いに適した食材と時間
50度洗いをするとき「この食材は本当にお湯で洗ってよいのか?」と迷うことも多いでしょう。50度洗いをおすすめする食材と洗う時間をご紹介します。まず、ホウレンソウやキャベツなどの葉野菜は、10~20秒かけて洗うようにしてください。葉を1枚ずつはがしてから洗うと臭いなども一緒に洗い流すことができます。ブロッコリーやアスパラガスなどの茎野菜は、葉野菜より長めの2~3分がおすすめです。キュウリやナスなど実のある野菜、果物は2~3分、トマトやトウモロコシは4~5分を目安に洗ってください。
もちろん、根菜やキノコ類にも50度洗いが適しています。中まで熱がとおるのに少し時間がかかるため、常温に戻してから5~6分かけて洗うようにしましょう。魚介類は2~3分、肉類は4~5分が目安です。さらに、冷凍食品も50度洗いをすることが可能であるということを覚えておいてください。
3.50度洗いの注意点
最後に、50度洗いを実践する際の注意点をいくつかご紹介します。
3-1.温度が低くならないように気をつける
50度洗いを実践する上で最も重要なのが温度調整です。温度をきちんと計らずに洗うのは絶対にやめましょう。40度前後のお湯で洗ってしまうとかえって雑菌を増やしてしまうことになるのです。特に、43度以下になると菌が繁殖しやすいため注意が必要でしょう。正確に測ることができる温度計を用意し、しっかりと管理するようにしてください。慣れてくれば熱さの感覚をつかめるようになるでしょう。そうなるまでは、必ず温度計を使うようにしてください。
しかし、毎回温度計でお湯の温度を測ることを面倒に感じる人も多いでしょう。そんなときは、次の方法を試してみてください。水道水が沸騰したときの温度は100度です。そして、常温の水道水は約15度。沸騰したお湯に常温の水道水を同じだけ入れると50度の温度に近づきます。ボウルにお湯を入れて温めておくと冷めにくくなるでしょう。
3-2.水切りと乾燥を忘れない
洗ったままにしておくと50度のお湯が揮発し、食材の細胞内に取り込んだ水分も一緒に奪うことになってしまいます。また、保存するときぬれたままの状態では、葉が溶けたようになり食べることができなくなってしまうでしょう。洗ったら手早くザルで水切りをして、キッチンペーパーでやさしく水分を拭き取ってください。
まとめ
50度洗いを実践したことがあるという人は、意外と少ないのではないでしょうか? 50度洗いには想像以上にたくさんのメリットがあり、実践してみる価値があります。「もっとおいしい料理を作りたい」と思っているなら、家族のためにもぜひ試してみてください。