今、「生前整理」や「終活」に続いて「老前整理」が話題になっています。興味がある人も多いことでしょう。その一方で、「生前整理」と何が違うのか、「老前整理は必ずしなければならないのか」など、老前整理に関する疑問がある人もいると思います。
そこで今回は、老前整理とはどのようなものか、老前整理のメリットなどを解説しましょう。
- 老前整理の基礎知識
- 老前整理を行うメリット
- 老前整理を始める時期とやり方
- 老前整理を成功させるポイントと注意点
- 不用品の処分や片付けは業者に依頼すると便利
- 老前整理に関するよくある質問
この記事を読めば、老前整理のやり方や始める時期の目安なども分かります。老前整理に興味がある人は、ぜひこの記事を読んでメリットなどを確かめてみてください。
1.老前整理の基礎知識
はじめに、老前整理とはどのようなことをするのかを、解説します。生前整理や終活と何が違うのでしょうか?
1-1.老前整理は40~50代に始める身辺整理
老前整理は40~50代から始める身辺整理の総称です。生前整理が60代以降に始めることが多いので、それに対してそれより若い年代に始める整理整頓のことを老前整理と呼ぶようになりました。
1-2.老前整理と生前整理の違い
老前整理は、2011年にデザイナーの坂本洋子氏が自著で提唱し、世間に広まった言葉です。坂本氏は著書の中で「生前整理は家族ため、老前整理は自分のため」に行うものと解説しています。生前整理は自分の死後に遺族が遺品整理で困らないように行う意味合いが強いものです。一方、老前整理は一度自分の持ちものを見直し、スッキリとした新しい気持ちで老後に備えるために行います。ですから、生前整理より気楽に前向きに始められるでしょう。
2.老前整理を行うメリット
老前整理を行うと、以下のようなメリットがあるといわれています。
- 本当に自分にとって必要なものが分かる
- 40代~50代はまだ決断力があり、整理整頓もはかどりやすい
- 生前整理の練習にもなる
- 老後の生活がより快適になる
40代~50代は人生が大きく変わりやすい時期です。子どもが独立したり親を見送ったりする人も多いことでしょう。それをきっかけに老前整理を始める人も多いようです。
3.老前整理を始める時期とやり方
では、老前整理はいつから始めるのがいいのでしょうか? この項では、やり方と共に解説していきます。
3-1.老前整理は人生が大きく変わるタイミングで行う
老前整理は何歳からやらなければならない、という決まりはありません。人生が大きく変わるタイミングで行うとやりやすいでしょう。たとえば、現在は30代後半で結婚する方も珍しくありません。その際、これからの自分に必要なもの、必要でないものを分ければ身の回りの整理ができます。同じように、子どもの独立や親が亡くなるなど、生活が大きく変わるタイミングで行うと整理がしやすいでしょう。
3-2.明らかに不要なものを捨てることから始める
老前整理は明確な決まりやスタイルはありません。「これをしなければならない」ということがないので、「何をしていいか分からない」という人もいるでしょう。その場合は、明らかに不要なものを捨てるところから始めてください。そうすれば、持ちものが少なくなり、管理も楽になります。
3-3.本当に必要なものを選ぶ
不要な捨てるのと同時に、自分にとって本当に必要なものを選びましょう。そうすれば、整理整頓の習慣を身に付けることができます。不要なものを捨てる、必要なものを選ぶという組み合わせが、老前整理や生前整理のコツです。一度その習慣が身に付けば、人生が変わるタイミングで整理整頓が自然とできるようになります。
4.老前整理を成功させるポイントと注意点
では、老前整理を成功させるポイントや注意点には何があるのでしょうか?この項では、その一例を紹介します。
4-1.時間をかけて行う
整理整頓は時間がかかります。1日で全部やろうと思わず、1か月~半年かけて少しずつ行っていきましょう。そうすれば、整理整頓のコツもつかみやすくなります。
4-2.なんでもかんでも捨てない
老前整理に前向きな人の中には、「あれもこれも全部不要」と思ってしまう人もいます。しかし、思い出の品など一度捨てたら取り返しのつかないものもあるので、慎重になりましょう。買い直せないものは写真に撮っておくなど形を変えて残す方法もあります。買い直せないものは捨てる前によく考えてください。
4-3.まずは普段使わないものから整理する
捨てるのを迷っていると、いつまでたっても部屋が片づきません。まずは、めったに使わないものから整理をしましょう。たとえば、あまり使わない収納スペースの中身などがおすすめです。一度整理のコツをつかめば、いるもの、いらないものが見えてきます。
4-4.自分のものだけ整理する
老前整理は自分のものだけ行いましょう。夫婦や家族で一緒になってできればいいのですが、無理強いしてはいけません。そして、家族とはいえほかの人のものを勝手に捨てるとトラブルになります。まずは自分のものだけ整理し、折に触れて家族にも整理をするように誘ってみましょう。
4-5.数年おきに老前整理をくり返す方法もある
40代前半で老前整理を行った場合、時間がたつとまたものがあふれてくる可能性もあります。老前整理を数年おきにすることで、常に必要なものだけに囲まれて過ごすことができるでしょう。
5.不用品の処分や片付けは業者に依頼すると便利
老前整理をすると、大型の家具や家電が不要になることもあります。また、「忙しくて不用品をまとめたが処分するひまがない」「粗大ゴミを出す余裕がない」という人もいるでしょう。こんなときに便利なのが、片付けや不用品回収を行っている業者です。今は多くの自治体で粗大ゴミの回収が有料だったり事前申込制だったりします。一度にたくさんの粗大ゴミに該当するものが不要になった場合は、自分で自治体に回収を依頼するより、業者に依頼したほうが手間と時間を節約できるでしょう。また、不用品がスムーズに片付けば、老前整理もはかどりやすくなります。
6.老前整理に関するよくある質問
この項では、老前整理に関するよくある質問を紹介します。
Q.引っ越しなどをきっかけにすれば老前整理をやりやすいでしょうか?
A.はい。引っ越しは不用品を片付ける絶好の機会です。ぜひ、行いましょう。
Q.あまり若いときに行ったら老前整理は意味がないですか?
A.いいえ。30才、35才と5年おきにやっていく方法もあります。
Q.ライフスタイルがあまり変わらないので、老前整理のタイミングが分かりません。
A.思い立ったときに始めれば大丈夫です。
Q.老前整理をしたら生前整理は行わなくても大丈夫でしょうか?
A.持ちものの質や量によります。自分の死後に遺族の手を煩わす心配があるなら、生前整理も行いましょう。
まとめ
今回は、老前整理を行うメリットややり方、注意点などを紹介しました。老前整理は整理整頓を習慣づけるためにも効果的です。人生の節目節目で持ちものを整理していれば、いざ整理整頓が必要になったときにスムーズに行うことができるでしょう。業者の手を借りれば、少人数でも無理なく老前整理を行うことができます。