水槽をきれいかつ清潔に保ち続けるためには、こまめな掃除が必要不可欠です。けれども、どのくらいの頻度で掃除すればいいのか・掃除をする際にどこに注意すればいいのかなど悩んでいる方は多いでしょう。水槽ならではの掃除のコツを把握しておけば、効率よく水槽の掃除を行うことができるはずです。
そこで、本記事では、水槽の掃除方法やポイントなどについて解説します。
- 水槽が汚れる原因は?
- 水槽の掃除頻度と役立つアイテム紹介
- 水槽の掃除方法とポイント
- 水槽を掃除する際の注意点
- 水槽の掃除に関してよくある質問
この記事を読むことで、水槽が汚れる原因や掃除の注意点などが分かります。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
1.水槽が汚れる原因は?
最初に、なぜ水槽が汚れるのか原因をチェックしておきましょう。
1-1.汚れの原因はほとんどがコケ
水槽の汚れはさまざまですが、ほとんどはコケが原因だといわれています。コケが水槽内に発生する原因は、富栄養化と光の2つです。富栄養化とは、水槽内の水に有機物やタンパク質が溶け込んでいる状態のことで、魚の老廃物・排泄物・食べきれなかったエサが含まれています。そして、水槽内に入ってくる光によってコケは光合成を行い、発生しやすくなるのです。エサを多く与えすぎたり、照明が強すぎたりすると、水槽内にコケが多く発生することになります。
1-2.茶ゴケ・珪藻(けいそう)・藍藻(らんそう)
コケの中でも、水槽に発生しやすいのが茶ゴケ・珪藻・藍藻の3種類です。水槽のガラスに付着しやすい汚れが、茶ゴケ・珪藻となります。表面についた汚れをエサにしているコケで、このコケが発生すると生態系が不安定になっている証拠です。水槽内に植物があれば自然と無くなります。そして、藍藻はヘドロ状や膜状になっているのが特徴です。藍藻は成長スピードが速く、悪臭や毒素を発生させるので早めに除去しなければなりません。水の流れや生態系のバランスが悪くなることで発生するコケです。
1-3.細長い汚れは糸状藻(しじょうそう)
細長い糸が水槽内に発生した場合、それは糸状藻と呼ばれるコケの1種です。糸状藻の形状は育てている生物や水槽によってさまざまですが、ところかまわず引っついてしまうのが大きな特徴となります。そのため、取り除くには時間や手間がかかるほか、完全に除去するのは困難です。水槽内に引っつくと完全除去が難しいので、水草を丸ごと水槽から除去することになります。
2.水槽の掃除頻度と役立つアイテム紹介
ここでは、水槽の掃除頻度と掃除に役立つアイテムをいくつか紹介します。
2-1.2週間~1か月の間隔で場所別に掃除する
水槽の掃除は、コケ・砂利(じゃり)・ろ過槽の掃除と水替えの作業が主になるでしょう。一気に全部を掃除しようと思っている方が多いのですが、一気に掃除する必要はありません。2週間~1か月ほど空けて別々に掃除を行うことが理想です。一気に掃除をすると手間と時間がかかるだけでなく、環境に大きな変化をおよぼしてしまいます。生物は環境の急激な変化に敏感なので、環境の変化を最小限に抑えるためにも、期間を空けることが大切なのです。
2-2.コケが繁殖しないように押さえておきたいポイント
2週間~1か月の間隔で場所別に分けて掃除するほか、コケや汚れが気になったときにきれいにすることも大切なポイントです。また、なるべくコケが繁殖しないように、水が汚れないように工夫を施しましょう。コケが繁殖しないように押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- 直射日光が当たらないところに水槽を置く
- 水槽に水・魚・水草・エサを入れすぎない
- 照明時間を長くしすぎない
2-3.水槽の掃除に役立つアイテム紹介
水槽の掃除を始める前に、必要なアイテムを用意しなければなりません。さまざまな種類の掃除アイテムが用意されていますが、水槽の必需品がバケツです。100円均一ショップで販売されているバケツでも構いません。できれば、タライのように注ぎ口が大きいタイプのものがいいでしょう。そのほうが水を注ぎやすいので掃除しやすくなります。また、メラミンスポンジも水槽掃除に必要不可欠なアイテムです。普通のスポンジよりも目が細かいので汚れが落ちやすくなります。そのほか、以下のアイテムもおすすめです。
- スクレイパー:コケをこそぎ落とすことができる
- マグネットクリーナー:水槽内と外をマグネットではさみながら掃除できる
- 使い古した歯ブラシ:汚れがたまりやすいコーナーを磨くのに最適
3.水槽の掃除方法とポイント
ここでは、水槽の掃除方法とポイントを解説します。
3-1.大まかな掃除の流れ
水槽の形や大きさによって多少の掃除方法は異なりますが、大まかな掃除の流れは以下を参考にしてください。
- 床が水で濡(ぬ)れてしまわないようにブルーシートやレジャーシートを敷く
- 水を抜く前に、メラミンスポンジやスクレイパー等でコケを除去する
- 3分の1程度、水を抜く
- 新しい水を入れる前に砂を掃除する
- 増えすぎた水草を切除する
- 新しい水を入れて完了
砂の掃除をする際は、砂利クリーナーといった汚れを吸い出すグッズを使うのがポイントです。また、水草を切除する際は、水草用のトリミングハサミを使ってください。普通のハサミはオイルを使っている可能性があるため、水草だけでなく生物にも悪影響をおよぼす恐れがあります。
3-2.ろ過槽はフィルター掃除が基本
きれいな水を維持し続けるためには、ろ過槽のフィルターを清潔な状態にすることが大切です。ろ過槽が詰まってしまうと、ろ過能力が落ちてしまいコケが発生しやすくなります。ろ過装置を掃除する際は、フィルターの目に詰まった汚れを取り除いてください。そして、容器に移した水槽の水ですすぐくらいで大丈夫です。ただし、ろ過槽を掃除している間はフィルターの電源を切らなければならないので、素早く掃除を終わらせましょう。
3-3.水替えは2週間に1度
水槽の掃除を行う際に必要不可欠なのが、水替えです。水替えは1週間に1回行うという方もいますが、2週間に1回程度で構いません。ただし、全部を新しい水に替えるのではなく、水量の3分の1を替えるのが大切なポイントです。すべての水を換えてしまうと環境が急激に変化してしまい、生物に悪影響をおよぼす恐れがあります。また、水替えのやり方は以下の手順を参考にしてください。
- ホース全体を水槽内に入れた状態で一方の入り口をふさぐ
- ふさいだほうのホースを水槽外に出す
- 水槽に入っているホースよりも下の位置に置いたバケツに排水する
また、水替えの際は、水温・塩分濃度を水槽内の水質に合わせてください。水質が異なる水を入れてしまうと生物が死んでしまう恐れがあります。事前に、水質を合わせた水を用意しておくとスピーディーに水替えができるでしょう。
4.水槽を掃除する際の注意点
それでは、水槽を掃除する際の注意点をチェックしておきましょう。
4-1.洗剤を使うのはNG
水槽内をきれいに掃除するため、中性洗剤や漂白剤などの洗剤を使うのはNGです。普通の掃除で使っている洗剤を水槽の掃除に使ってしまうと、生物に悪影響をおよぼす恐れがあります。きれいに洗っているつもりでも、水槽内に洗剤の成分が残ってしまうこともあるのです。生物へのリスクを減らすためにも、水槽専用のクリーナー等を使うことをおすすめします。また、コケなどの汚れはできるだけスポンジやブラシでこすり取りましょう。
4-2.生物は水槽に入れたままにする
水槽内を掃除する場合、魚などの生物を入れたままでは掃除がしにくいからとほかの容器に移す方が多いでしょう。けれども、魚にとって掃除のたびに移し替えられるのは大きなストレスになります。移動のときに体を傷つけてしまうかもしれません。そのため、生物は入れたまま水槽内を掃除してください。水槽掃除用のスポンジやアイテムを使って内側をゴシゴシするだけでOKです。魚たちにストレスを与えないようにやさしく掃除を行うといいでしょう。最初はびっくりしていても、日ごろから行うことで魚も慣れてきます。
4-3.アクリル水槽はメラミンスポンジを使わない
水槽の掃除に役立つアイテムとしてメラミンスポンジをおすすめしましたが、アクリル水槽の場合は傷がついてしまう恐れがあります。アクリル水槽を掃除する場合は、メラミンスポンジではなく水槽用のスポンジやスクレイパー等を活用しましょう。コケが固くてなかなか取れない場合は、樹脂製のスクレイパーがおすすめです。金属製のものを使うと水槽に傷がついてしまう恐れがあるため、樹脂製のものを使いましょう。
4-4.配管やホースの掃除も忘れずに
日常のお手入れとしては、コケ掃除と水替えが基本になりますが、水槽に付属されている配管やホースも定期的に掃除しなければなりません。何度か使うと汚れがたまってしまうので、忘れずに掃除しましょう。基本的に、配管やホースは市販のパイプブラシや使い古した歯ブラシを使って掃除します。取りはずせるものは取りはずして掃除したほうが作業しやすくなるのでおすすめです。ゴシゴシときれいに水洗いをしたら、もとの位置に戻しましょう。
5.水槽の掃除に関してよくある質問
水槽の掃除に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.汚れを放置するとどうなるのか?
A.水槽内の汚れを放置すればするほど、水質が悪化することになります。コケや藻で水槽内がいっぱいになってしまい、生物の様子も窺うことができなくなるでしょう。水質が悪化すると生物にとっても大きなストレスになり、死に至る恐れもあります。水槽の掃除を怠るのは非常に危険なので、定期的に掃除することを心がけてください。
Q.ろ過装置・ろ過槽の掃除方法は?
A.主な流れは以下のとおりです。
- ろ過装置とつながっている配管・クーラーなどの周辺機材を取りはずす
- ろ過材を大きめのバケツなどに入れてすすぎ洗いをする
- ろ過装置の水を捨てて、ろ過装置をきれいに洗う
- カルキ抜きをした水をろ過装置に入れる
- 洗ったろ過材と周辺機材をもとの位置に戻して完了
ろ過材を洗う際は、バクテリアを死滅させないようにするため飼育水で洗うのがポイントです。また、ろ過装置の水を捨てる場合は、排水ポンプを使うと楽に捨てることができるでしょう。
Q.底砂の掃除のコツは?
A.水槽の底に細かい砂を敷いている場合、そこに汚れがたまってしまいます。そのため、数か月に1回は掃除をしてください。定期的に掃除することで汚れにくくなり、今後のお手入れも楽になるでしょう。また、底砂を軽く割り箸や棒などでかき混ぜると汚れが浮いてきます。そこで、スポイトを使うと汚れが吸い出しやすくなるので、ぜひ試してください。
Q.掃除やメンテナンスを楽にするコツは?
A.水替え・ろ過槽・ろ過材がいらない水槽を使うといいでしょう。水槽にはさまざまな種類がありますが、中には、自然の海と同じ仕組みを水槽内に再現しているものもあります。水槽の有害物質をすべてバクテリアによって無害化できる装置が備わっているのです。よって、水替えやろ過槽などの掃除をする必要がありません。一般的な水槽も割高ですが、掃除やメンテナンスの手間を省きたいという方にはおすすめです。
Q.なかなかコケや汚れが取れない場合の対処法は?
A.水槽を新しいものに替えるか、プロの清掃業者に依頼することをおすすめします。アクアリウムなどで使われている水槽の寿命は約10年といわれているので、10年以上使っている水槽は新しくしたほうがいいでしょう。特に、ガラス水槽は少しずつシリコンが劣化し、ガラス同士が剝がれて水漏れを起こす可能性があります。汚れも付着しやすくなるため、10年を目安に買い替えを検討してください。
まとめ
常に水をためている状態の水槽は、コケやカビが生えやすい環境となっています。水が緑色になるのはコケ、水槽の壁には珪藻が張りつき、その汚れが原因で生態系に悪い影響をおよぼす恐れがあるでしょう。定期的な掃除が重要となりますが、コケ・砂利・ろ過槽などの掃除を2週間〜1か月ほど空けて別々に行うのが理想です。どうしても自分で除去できない汚れがあれば、専門業者に依頼したり新しく交換したりするのも選択肢の1つでしょう。きれいな水槽を維持し続けることで、育てている魚たちも元気に長生きでき、安心して育生できます。