親の家の片付けで悩んでいる方が非常に多くいらっしゃいます。「親が片付けられない性格」「ものが多すぎて手が付けられない」など、実家の片付けにはさまざまな困難な要素があるでしょう。実は、ポイントを押さえれば親の家の片付けはそう難しくありません。しかし、ポイントを知らないと親の片付けのやる気を奪ってしまったり、親と言い争ってしまったりといったトラブルになることもあるのです。そこで今回は、実家を片付ける際に知っておきたいポイントやコツ・やってはいけないことなどをご紹介します。
- 親の家を片付けるということ
- 親の家を片付けるタイミング
- 親の家を親自身に片付けてもらう前に知っておきたいこと
- 親の家を片付ける方法を4つご紹介
- 親の家を片付ける際の注意点とコツ
- 親の家の片付けでよくある質問
親の家の片付けを成功させたい方、生前整理・遺品整理を検討している方のためのヒントが満載です。ぜひ最後まで読んでみてください。
1.親の家を片付けるということ
まずは、親の家の片付けについて、必要性や問題点など、基礎的な内容を見ていきましょう。
1-1.親の家にはものが多い
個人差はありますが、親世代の家は比較的ものが多い傾向があるでしょう。高齢になって思い出のものが捨てられなかったり、体力や気力が落ちてきて、自分で片付けをすることが難しくなります。
1-2.ものを整理するには想像以上の体力・気力が必要
ものを仕分けたり捨てたりする作業は、想像以上に体力・気力を使います。特に、ものを捨てるという行為は、自分の体の一部が切り離されるような負担を感じる方も多いため、高齢になってきた親世代にとっては厳しいものがあるでしょう。
1-3.遠方のため片付けを手伝えない
親の家の片付けを手伝ってあげたいと思っても、実家から離れたところに住んでいる場合、何度も訪問するのは難しいでしょう。親自身に片付けをしてもらったり、プロに手伝ってもらったりする必要があります。
2.親の家を片付けるタイミング
2-1.親が存命かどうかで片付け方は異なる
親の家を片付けるタイミングは大きく分けて、親が存命か逝去後か、となるでしょう。親がまだ存命のうちに片付けることは「生前整理」、逝去後に片付けることは「遺品整理」とされています。
2-2.生前整理は親の意思をくみながら作業できる
生前整理の場合は、親と相談しながら一緒に片付けることとなり、思いや情報を共有できるというのがメリットがです。しかし、片付けの作業は親の意思をくむ必要があるので、時間がかかってしまいます。
2-3.遺品整理は精神的に厳しいことがある
親が遺(のこ)したものを整理しながら、実家を片付けることになります。実家にそのまま住むのか、売却するのか、貸家にするのかなどによって、片付けのゴールは異なってくるでしょう。親の逝去後、精神的負担がかかっているため、自分で片付けを行うのが難しくなります。また、大量のものを一度に整理することになるため、遺品整理のプロにまとめて依頼する方も少なくありません。
3.親の家を親自身に片付けてもらう前に知っておきたいこと
次に、親に自分で家を片付けてもらう際、事前の注意点やポイントなどをご説明します。
3-1.実家の片付け前に①:ゴールを自分で決めてもらう
親にかぎらず、片付けをお願いする際は「とにかく片付けて」とか「整理して」のようなあいまいな指示では難しいでしょう。「ものを減らして崩落などの危険がない家にする」とか「孫を連れて来られるくらいのスペースを作る」など、具体的な目標を一緒に考えるとよいかもしれません。しかし、あくまで決定するのは親に任せて「自分で決めた」という感覚を味わってもらうことも大切です。
3-2.実家の片付け前に②:片付けを前向きにとらえてもらう
「生前整理」というと、どうしても死の準備をしているようで快く思わない方が大半でしょう。親の家に住むのはあくまで親自身であり、親が老後を快適に過ごせるようにするための家作りをするという意味合いで実家を片付けてもらうのがおすすめです。そのためにも、楽しいゴールの設定が重要になります。
3-3.実家の片付け前に③:親を説得しようとしない
親の家が散らかっていて、いわゆる「汚部屋(おべや)」「汚実家(おじっか)」に近い状態の場合、親自身も「片付けなければ」という思いがどこかにあるはずです。そんなときに子供から「片付けよう」とか「なんとかしよう」と言われると、かえって意固地になってしまうかもしれません。あくまで自発的に片付けてもらえるように、前項のような前向きなアプローチをかけてみてください。
4.親の家を片付ける方法を4つご紹介
次に、親の家を片付ける方法について、それぞれご説明します。
4-1.親と一緒に片付け作業ができればベスト
親の家に通い、一緒に片付ける方法です。ゆっくり時間をかけて、思い出を一緒に振り返りながら親の家を片付けられるため、丁寧な仕分けができるでしょう。親も、子供とともにものと向き合うことで、今まで手放せなかったものを手放せたり、思いきりが付いたりすることもあります。時間がかかる作業のため、なるべく早く始められるとよいでしょう。
4-2.実家に通えない場合は親に片付けてもらいたいが……
親の家が遠方の場合は、親自身に片付けてもらうしかありません。子は、月末だけ点検や相談に帰るなどの対応ができます。親の力で片付けてもらうので親に負担がかかり、また、作業が進むかどうかが分からないといった問題点もあるでしょう。
4-3.生前整理を業者に頼るという手も
親の家に何度も通えない場合や、片付けを自分で手伝うのが難しい場合には、業者の手を借りる方法もあります。大型ゴミの運搬・収集など、個人では難しい作業を依頼できるのはもちろん、ものの仕分けやゴミの分別・リサイクル・買取などを依頼できるところもあるのです。業者の訪問日に立ち会ってあげれば安心でしょう。
4-4.遺品整理はプロに依頼するのがおすすめ
前述のとおり、遺品整理を個人で行うのはかなり精神的に負担がかかります。親の逝去・葬儀などの手配など、もともと負荷がかかっている上に、親の家にある大量のものを整理したり処分したりするのは、並大抵の作業ではないでしょう。貴重品や大切な思い出の品をピックアップするなど自分で行う作業とは別に、ほかのだれにでもできる作業はプロにお任せするのもおすすめです。
5.親の家を片付ける際の注意点とコツ
次に、親の家の片付けで気を付けたいポイントについてご説明します。
5-1.親のものを勝手に捨てるのは厳禁
絶対にいらないと思ったものでも、必ず親の手で処分してもらいましょう。一度でも「勝手に捨てた」と不信感を抱かれると、片付け作業を一切手伝わせてもらえなくなる可能性もあります。
5-2.防災対策もチェック
片付けの際は、災害に対する備えも考えましょう。具体的なポイントは以下のとおりです。
- 頭上に重いものはないか
- 地震や火事の際、出口をふさぐ恐れのある家具はないか
- 廊下や階段はものがなく歩行が容易にできるか
- (できれば)防災用品の点検……飲料水・食糧の期限のチェックなど
5-3.貴重品はまとめてキープ
現金・金融商品・印鑑・通帳・証券・契約書など、貴重品をまとめておくスペースを決めておきましょう。片付け中に、「貴重品が出てきたらここへ」と決まっていると紛失の恐れもなく、作業が楽になります。片付けが終わったら、口座情報や契約内容の確認、相続などについて、一気に相談できるというメリットもあるでしょう。
5-4.ものの処分方法を検討しておく
親の家を片付ける際は大量の不用品が出ます。どのものをどのような方法で処分するのか、あらかじめ選択肢を上げておくと効率的です。処分方法の候補をいくつかご紹介します。
5-4-1.自治体のゴミ回収
可燃ゴミ・不燃ゴミ・資源ゴミなどは、自治体の指定日に捨てればOKです。大型の家具や家電は粗大ゴミとして処分する必要があります。自治体のHPや電話で申請できますが、処分できるまでに1週間~1か月くらいかかることもあるので、早めの申請がおすすめです。品目によって回収料金は異なります。タンスやベッドなど大型家具の1,000~2,000円くらい、ひとりで持てるくらいのサイズ(イスや電気ポットなど)は、300~1,000円で処分できるでしょう。
5-4-2.リサイクルショップ・ネットで売却
まだ新しい家具家電やブランド品など、買取してもらえそうなものは売却してもよいでしょう。ただし、リサイクルショップに運搬したり、ネットに出品したりする手間や時間がかかることを理解しておいてください。買取額に見合わない労力をかける必要はありません。5,000円くらいの買取額が見込めるものだけ売る、など自分の中で線引きを決めておくとよいでしょう。
5-4-3.不用品回収・買取業者に依頼
不用品を家に取りに来てもらえる出張回収は、親の家の片付けに役立つでしょう。家にいながらにして不用品を引き取ってもらえるので、体力や時間がない方には最適です。ただし、悪質な業者も存在するため、業者選びには注意してください。
6.親の家の片付けでよくある質問
親の家の片付けについて、よくある質問にお答えします。
Q.実家の片付けはどこから手を付けたらよいですか?
A.台所・浴室・脱衣所など、面積の狭いところをおすすめします。すぐに終わるため達成感を味わえて、その後の片付け作業のモチベーションアップにつながるでしょう。特に台所は捨てていいか悩むものが少ないのでおすすめです。賞味期限の切れた食料品・無料でもらってきた雑貨類などを整理することで、片付けの効果を実感することができるでしょう。
Q.親の家を片付ける際に、家族で相談しておくことはありますか?
A.住んでいる家をどうするか、お墓や葬儀のこと、遺産や遺品の相続などについて相談してください。一見、片付けとは無縁のように思えますが、「後の世代に引き継ぐ」という意識が生まれるため、親に片付けのやる気が出ることもあるでしょう。
Q.片付けられない親に生前整理を持ちかけるにはどうしたらよいですか?
A.「台風や地震などの災害が心配だ」とか「広い家に孫を連れてきたい」と伝えることで、片付ける目的を作ってあげるとよいでしょう。また、子世代である自分たちも生前整理を伝えることで、年齢に関係なく片付けや整理が大切であることを分かってもらえるかもしれません。「片付けって楽しそう!」と思ってもらえるのがベストです。
Q.実家片付け系ブログのおすすめを教えて
A.実家の片付けブログをいくつかご紹介します。
ホテルライクスタイル→実家の片づけBeforeAfter①物だらけの台所を断捨離&整理整頓でスッキリ使いやすく☆
ビフォーアフターの写真が非常に多く掲載されており、視覚的にモチベーションを得られます。スッキリした部屋のイメージがしやすいのが特徴です。
ミニマリストの娘が、母親の家を片付けに奮闘するブログです。片付けの細かい作業内容・プロに依頼した作業が詳しく記載されているので参考になるでしょう。また、精神的な内面についても記載が多いので、実家の片付けに悩んでいる人には共感できるものが多いかもしれません。
Q.実家の片付けがうまくいかずストレスです
A.親の家の片付けがうまくいかないときは以下のパターンになってしまっている可能性があります。思い当たる項目があれば直してみてください。
- 手伝って「あげている」という上から目線になってしまっている
- 捨てることを強要している
- 自分(子)の家が片付いていない
- 親自身が親の家の主役になっていない(子が主役になってしまっている・子の目線で片付けている)
まとめ
親の家の片付けについて、方法やポイントをご説明しました。汚実家の片付けは、ゴールが見えず途方のない作業に感じることがあるかもしれません。しかし、ものの数は有限なので、必ず片付けは終わります。今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ前向きな気持ちで実家を片付けてみてください。