「スプリングクリーニング」とは、名前のとおり、春に大掃除を行う欧米の習慣を指しています。日本における大掃除は、年末に行うイメージが強いでしょう。しかし、欧米は冬の間に暖房として石炭などを利用するため、すすなどで汚れた家を大掃除していました。そのため、春に大掃除を行う習慣ができたのです。近年は、そんな欧米の習慣に注目が集まり、日本でもスプリングクリーニングを行う家庭が増えてきました。

では、具体的にどんなメリットがあるのか、どんな方法で行えば良いのでしょうか。本記事では、スプリングクリーニングの方法について解説します。

  1. スプリングクリーニングの基礎知識
  2. スプリングクリーニングはメリットがいっぱい!
  3. スプリングクリーニングでそろえたい道具は?
  4. スプリングクリーニングの方法は?
  5. スプリングクリーニングに関してよくある質問

この記事を読むことで、スプリングクリーニングの方法とメリットを知ることができます。気になっている方や計画を立てたい方は、ぜひ参考にしてください。

1.スプリングクリーニングの基礎知識

まずは、スプリングクリーニングがどんな内容なのか、基礎知識を理解しておきましょう。

1-1.スプリングクリーニングとは?

日本でいう大掃除は、新しい年を迎える準備として11月下旬~12月下旬にかけて行うのが一般的です。しかし、欧米では春から初夏にかけて掃除を行う「スプリングクリーニング」が定番となっています。もともとは、欧米のすす払いからきた習慣で、冬の間に溜(た)まったホコリや汚れを落とすのが目的です。

1-2.最近の傾向をチェック!

「スプリングクリーニング」は欧米の習慣でしたが、近年は日本でも定着しつつあります。実際に、春の大掃除を実践した結果、「とても良かった!」という声が多く上がっているのです。ある調査によると、春は掃除に適している季節だと回答した既婚女性が約80%という結果が出ました。「年末の掃除が楽になる」「冬に掃除するよりも簡単」などの意見が多く出ています。では、どのようなメリットがあるのか、次の項目で詳しくチェックしていきましょう。

スプリングクリーニングとは春の大掃除なんですね。
はい。もともとは欧米の習慣でしたが、今は日本でも定着してきました。

2.スプリングクリーニングはメリットがいっぱい!

あなたが思っているよりも、スプリングクリーニングのメリットはたくさんあります。主なメリットをいくつかピックアップしたので、ぜひチェックしてください。

2-1.暖かい気候で大掃除がしやすい

春から初夏にかけて行う「スプリングクリーニング」のメリットは、何といっても気候が暖かいことです。年末年始の大掃除は寒さと戦わなければなりません。水を使ったり外に出たりするだけでも、肌がかじかみ赤くなるでしょう。しかし、春の暖かい気候なら、水仕事につらい思いをすることがありません。体も冷えることなく、掃除しやすくなります。

2-2.新生活などタイミングが最適!

年始年末の掃除は、1年を新しく迎えるために行う方が多いでしょう。また、まとまった休みが確保しやすいので、大掃除のタイミングも最適です。一方、スプリングクリーニングも新生活を始めるには1番良いタイミングの大掃除となります。新生活で1人暮らしを始めたり、新しい場所へ引っ越しをしたりするなど、新しい生活を気持ち良く始めるための必要な準備と思えば掃除に対する意欲が湧き出てくるでしょう。

2-3.冬の汚れを落とすことができる

冬に溜まった汚れが取りのぞけるのも、スプリングクリーニングの大きなメリットです。特に、キッチンなど油汚れがつきやすい場所は、寒い時期よりも暖かい時期のほうが落ちやすくなります。冬場に固まった油汚れが、春の暖かい気候によってゆるむのです。また、冬の汚れだけでなく、春に付着しやすい花粉や黄砂も落とすことができるでしょう。

2-4.梅雨前の掃除とチェックができる

梅雨から夏になるころは、食中毒が増える傾向があります。食中毒を起こさないように、梅雨前にきちんとキッチンや冷蔵庫などを清潔にしておけば、未然に防ぐことができるでしょう。春の掃除と一緒に湿気対策をしておけば、梅雨時期のカビ防止につながります。梅雨前にしっかりチェックをすることで、夏を迎えても掃除が楽になるのです。

2-5.そのほかのメリット

スプリングクリーニングは、カビ・菌の増殖を抑えるメリットもあります。暖かい時期になると、カビ・菌が繁殖しやすくなるため、きちんと対策を立てなければなりません。春の大掃除と同時に対策することで、カビ・菌の繁殖が防止できるでしょう。また、冬物と春物の入れ替えや部屋の模様替えも一緒にできます。年末年始に時間がない方などは、春の大掃除に目を向けてみてはいかがでしょうか。

春に掃除するとメリットが多いんですね。
はい。新生活のスタート前に掃除をすると気持ちよく新生活のスタートが切れるでしょう。

3.スプリングクリーニングでそろえたい道具は?

スプリングクリーニングを実践する前に、必要な道具を準備しておかなければなりません。ここでは、スプリングクリーニングの道具について解説します。

3-1.必要な道具は?

スプリングクリーニングに必要な道具は、一般的な掃除に使う道具と変わりありません。主に用意すべき道具は以下のとおりです。

  • キレイな雑巾(ぞうきん)
  • バケツ
  • ちりとりとホウキ
  • 台所用洗剤やカビ取り剤
  • 新聞紙
  • ミクロ繊維クロス
  • キッチン用アルコールスプレー
  • スポンジ

ほかにも、ハンディーモップとフローリングワイパーなどを準備しておけば、床に落ちたホコリや窓に付着した花粉などを取りのぞくことができるでしょう。

3-2.年末年始の大掃除と同じでOK?

スプリングクリーニングは、年末年始よりも掃除がしやすいのがメリットです。基本的に、大掃除に必要な道具は変わりませんし、方法や流れも同じで構いません。ただ、「梅雨前の大掃除」であることを意識するように心がけてください。カビが繁殖しやすい梅雨前なので、カビ対策も含めた大掃除をしたほうが効率的です。その点だけでも意識して、スプリングクリーニングを実践すると良いでしょう。

大掃除と同じ道具があればいいんですね。
はい。流用してもいいでしょう。

4.スプリングクリーニングの方法は?

それでは、スプリングクリーニングの具体的な方法を、場所ごとにそれぞれ紹介します。

4-1.エアコンなど暖房器具

冬の間は、エアコンなどの暖房器具をフル稼働したと思います。そのため、暖房器具類のお手入れを春の大掃除で済ませておきましょう。春の大掃除でキレイにしておけば、夏の時期も気持ち良くエアコンを使うことができます。エアコンの掃除は、フィルターと吹き出し口の2か所がポイントです。フィルターは簡単に取りはずしができるため、取扱説明書を見ながら作業しましょう。吹き出し口・ルーバーは奥まで手が届きにくい傾向があります。その際は、定規にタオルを巻いて掃除すると、奥までキレイに拭き上げることができるのでおすすめです。

4-2.クローゼット、押し入れなど

クローゼットや押し入れは、カビが発生しやすい場所なので入念な掃除とカビ対策が必要です。まず、中に入っているものをすべて取り出してください。そして、固くしぼった雑巾でキレイに拭き上げ、ホコリを取りのぞきます。その後は、水気を完全に乾燥させるために半日開け放しておきましょう。乾きが速くなるように、扇風機で風を送るのもポイントの1つです。

4-3.冷蔵庫

前述したとおり、梅雨時期は菌が繁殖しやすくなり、食中毒が多くなります。食中毒を防ぐためには、冷蔵庫内もしっかり掃除しておかなければなりません。たとえば、引っ越しするなら、冷蔵庫内のものをすべて取り出し、食べカスなど汚れをキレイに拭き取ります。そして、アルコールを塗布した布で拭くと良いでしょう。アルコール除菌をすることで、汚れを取るだけでなく除菌効果がアップできます。

4-4.水まわり

浴室・キッチンなど水まわりの汚れは放置するほど、カビが繁殖しやすくなります。梅雨前の春の大掃除で、小さなカビを除去しましょう。たとえば、浴室のカビは、カビ取り剤を使って清掃します。カビ取り剤を小さなカビの部分に吹きかけ、30分間ほど放置してください。放置することでカビが落ちやすくなります。放置した後は洗い流すだけでOKです。
また、シンク・キッチンに付着する油汚れは、台所用洗剤・住宅用洗剤を使用すると良いでしょう。100円均一ショップで手に入る「重曹」も効果があります。特に、換気扇の頑固な油汚れは、重曹をふりかけると油を吸ってくれるでしょう。ぜひ試してみてください。

4-5.ベランダ、窓

ベランダは花粉・ホコリ・ゴミが溜まりやすい場所なので、いきなりホウキで掃かないでください。まずは、固くしぼった雑巾などで物干し竿→手すり→室外機と、高い場所から拭き上げていきます。そして、ぬるま湯を入れたバケツで残りのホコリを洗い流しましょう。最後に、要らない雑巾でキレイに拭き上げていきます。流した後はきちんと拭かないと、一か所にホコリが溜まってしまうので気をつけてくださいね。
そして、窓は、水拭き→乾(から)拭きをしましょう。泥・排気ガスなどの汚れがついている場合は、水拭き→洗剤拭き→乾(から)拭きをすると、キレイに取りのぞくことができます。室内の窓が高い場所にある場合は、長く伸びるハンディーモップを使うと簡単です。

4-6.カビ対策

春の大掃除で忘れてはいけないのが「カビ対策」です。何度もお伝えするほど、重要なポイントとなるので絶対に忘れないでください。たとえば、クローゼットや靴箱など換気しにくい場所には、市販の除湿シートなど除湿アイテムを設置します。また、カビの原因となるシミと汚れの有無もチェックしてください。衣類・布団を詰め込み過ぎると湿気がこもるため、できるだけ詰め込まないほうが良いでしょう。

こちらも大掃除と同じですね。
「はい。暖かい分、外回りの掃除に力を入れてもいいでしょう。

5.スプリングクリーニングに関してよくある質問

スプリングクリーニングに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.春の大掃除が楽になるポイントは?
A.毎日こまめに整理整頓をすることです。床にものを放置したり、使いっ放しにしたりしないように心がけるだけでも、キレイな環境が維持でき大掃除が楽になります。また、年に2回大掃除すると、掃除する箇所を分散することができ、1回の掃除が楽になるのでおすすめです。年末と春の2回に大掃除を分けることで、気持ちの負担も軽くなります。欧米流と日本流の大掃除を取り入れ、習慣化してみてはいかがでしょうか。

Q.靴箱の中も掃除したほうが良いのか?
A.カビ対策のために、春の大掃除で靴箱の中も掃除することをおすすめします。靴箱を掃除する際は、カビが生えた靴がないか確認し、見つけた場合はしっかりと落としてください。靴箱からすべての靴を取り出し、雑巾でキレイに拭き上げた後に、新聞紙を敷いてから靴を置くと良いでしょう。新聞紙を敷くことで、湿気を吸収してくれます。

Q.排水口の掃除方法は?
A.排水口の汚れは、重曹・お酢・クエン酸を使ってキレイにしましょう。最初に、100gほどの重曹を排水口に円を描くように入れます。そして、お酢またはクエン酸どちらかを用意し、水で2倍程度に薄めた混合液を重曹の上からかけてください。アルカリ性の重曹にお酢またはクエン酸の酸の力が加わることで油汚れなどを落としてくれます。

Q.押し入れやクローゼットに収納する布団はどうすべきか?
A.衣類・布団をずっと入れっ放しにしておくと、湿気がこもりカビが発生しやすくなります。そのため、定期的に布団を干してください。春の大掃除や衣替えなどのタイミングで、晴れた日に布団を干し、押し入れとクローゼットの中も同時に掃除すると良いでしょう。

Q.なかなか落ちない汚れの対処法は?
A.自分で掃除をしてもなかなか落ちない場合は、専門の清掃業者へ依頼するのも選択肢の1つです。実績のある業者ほど、どのような汚れにも対処できる力を持っています。専門の道具や洗剤・機械などを使用して、頑固な汚れを落としてくれるでしょう。

まとめ

いかがでしたか? スプリングクリーニングは、冬に行う大掃除よりも負担が少なく、楽な気持ちで掃除ができます。体を冷やすことなく、穏やかな気候の中で大掃除がしやすくなるメリットがあるのです。また、キッチンなどの油汚れは暖かい気候のほうが落ちやすくなります。さまざまなメリットがあるスプリングクリーニングだからこそ、大掃除の時期を春に変えてみてはいかがでしょうか。大掃除を楽にしたい方は、年末年始と春の2回に分けるのもポイントの1つです。スプリングクリーニングの具体的な方法を知り、ぜひ実践してください。